KATSUICHI Reserch & Development / 2002 Hook

最強のフックへの挑戦 〜GT SPECIALの誕生〜

カツイチの開発スタッフが大久保幸三氏に出会い彼の理論を聞いたのは2000年初春である。
「自分の体重より重く、強いGT(ロウニンアジ)を釣りたいんです」と聞いたとき、開発担当者はそんなフックを作りたいと思った。作りたいではなく純粋な釣針メーカーとして作るべきなのである。

こんな事から始まったGT SPECIAL の開発。まず解決しなければならない問題は色々あった。まず、フック自体の線径、素材の問題。そしてスケールアップする事で起きる貫通力の問題。ハリの剛性の問題、スプリットリングとの結束の問題など。。。最強の魚だからこそ不安要素はなくさなければならなかった。
徹底したフィールドテストで進化したGT SPECIALをこの場でご報告したい。
技術的な公開できないものはともかくとして、GT SPECIALのコアとなる部分を説明する。

貫通力のテストとゲイブ幅の決定
魚相手に想像のウンチクはいらないと開発スタッフは考え、死んでしまった51kgの怪物 GTを開発室に取り寄せた。むろん頭部分だけで16kg という超化け物である。
そして口細部まで観察し、最高の試験品である51kgのGTの取れるデータはすべて取った。一体どれほどの貫通力で50kg overの口を捕らえる事ができるのか? 

       

                     奴に弱点はあるのか? 

実物を目のアタリにして最初は道が見いだせなかった。唇の歯の周りは不可能である。もちろん1mm単位での貫通出来そうな場所は歯の周りにも確認出来たが、その場所にフックアップさせるのはまさに神業である。鋼鉄のように思われるGTの口でもGT SPECIAL のロングポイントが唯一約2キロのテンションで貫通出来る場所が存在した。口の蛇腹と地獄の部分である。それに必要なゲイブ幅とハリ立ちを実際のGTの口から算出した。この数字はシャンク長さ、ゲイブ幅などの反映されている。 “敵を知ること”これこそがモノ作りの始まりである。

フックアップさせる事にこだわった点
カーブドインポイントを採用し、テーpーは従来のものより35%長く、鋭くした。これは50kg overのGT
の口の比較的フックアップしやすい部分を逃さず刺さり込ます為であり、針先の長さはたとえ突き抜けなくてもホールディング部分を長く取れるのである。当社のSW-7/0のスプロート部分(針先からベンドカーブまでの部分)とほぼ同じ寸法にデザインされている。更に大久保氏がこだわった点にバーブの位置の問題もある。バーブ加工の位置がベンドカーブの最終部にある方が、バーブレスにした際、もっとも口の肉を固定しやすいと言うことが実釣でわかったからである。

鋼鉄のような口に刺さり込むテーパーデザイン。これこそは8種類に異なるテーパーデザインと表面処理による摩擦抵抗等すべて実際のGTに圧縮試験しもっとも試験結果が良かったものをプロト段階から採用し、現在のテーパーデザインとなった。

               

       テーパーを長くするだけではない。細部までのデザインで貫通力がへることが判明した。

スプリットリングとの相性
まず最初のプロトで問題が出たのがスプリットリング装着の際にスプリットリングがフックの太さに負けてしまい、隙間が発生した。1つの不安要素が大きな不安になるのが大物釣りの常識である。だからフックのアイにも改良を加え始めた。テーパー、カッテイング等、そして GT SPECIALの大きな特徴と言うべき、
Grind Edge Eye(PAT.P)が完成した。

               

アイのサイドを切削する事は一見強度不安の様に思われるが、300kgfの荷重をアイにかけてもびくともしない。そればかりか、サイドの余分な部分を削ることにより、ゲイブ幅を更に広げる事が出来、フッキングの向上ができた。一度Grind Edge Eyeにスプリットリングを通していただければ解ることだが、まるで3/0ぐらいのフックにスプリットリングを通す感じである。

ロウ付け部分とフック剛性の限界点
最初のプロトフックが完成したとき、ロウ付け部分を長く取って単純に剛性を求めたあまり、推定40kgオーバーのGTにハリが折られた。

                

     大久保氏はそのフックを担当者に渡し「もっといいものを作りましょう」と言ってくださった。             この言葉があって完成できたと思う。今でも感謝している言葉である。

ロウ付け部分を長くすることは一見フックを強く見せるが、実際はフック自体の剛性、弾性のバランスを崩す不安要素だったのである。ハリ自体が弱いとロウ付け部分を長くして弱さはごまかせるかもしれないが、当社のフックはもそもそも他社と違う。“ロウ付け部分が長い=フックが強い”世間一般の観念に惑わされてしまっていたのである。 フックメーカーでありながら、フックの弾性を生かすと言うもっとも重要な事を見忘れていたのである。

       
こんな経験があったからこそ、フトコロの引っ張り強度が150kgfを越えるのフックが完成したのです。このロウ付け部分の材料とフックへの熱処理技術を当社では "
Solid System"と名付けた。

上の写真はあえて某メーカーの300lbクラスのスプリットリングを付けてフトコロの引っ張り試験を行った結果です。むろんフックはスプリットリングが変形しているにも関わらず、ほとんど変形していない。グラフ表示なんかの試験結果ではなく、まぎれもない事実である。

コーティング
貫通力をあげる目的で何種類かの表面コートもテストしましたが、大久保氏のテストでGTに対してフックの色が与える影響なども報告されたため、現行のSW BIGシリーズと同等の高耐食スズメッキ処理を行う事にしました。ただこの点に関しては引き続き調査を行い、更に良い表面処理があれば随時リリースしたいと考えています。

今回のGT SPECIALの報告においては、我々が行ったいる開発の現場というものをあえて一部皆様にご報告致しました。しかしながら、このような開発はカツイチが常に行っていることであり、我々にしか出来ない、商品開発に取り組み、ロマンを求めるアングラー達にお答えできるよう今後も精進したいと考えております。釣師に夢を与えまた、最後になりましたがGT SPECIAL #10/0をリリースするにあたり、全面協力してくださった大久保幸三氏を始め、キャプテン、アングラーにこの場をお借りして厚くお礼申し上げます。

開発担当者:中川 宗繁 


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